『 木蘭の涙』(スターダスト☆レビュー,1993)の歌詞の意味を、次の3つのポイントについて、まとめてみました。
- 歌のタイトル「木蘭の涙」の意味は?
- シチュエーション(舞台設定)は?
- 歌の主人公のペルソナは?
本 UTAZINE.jp では、『木蘭の涙』の歌詞の意味を、次のように解釈しました。
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毎年4月の終わりになると、木蘭の香りに誘われるように、他界した元カレに対する積年の想いが胸の奥から沸き起こって、押さえることが出来ません。
彼の治療費を払い終わった日、彼が好きだった紫木蘭の香りに彼が招魂して、さよならを告げようとした私に、「逢いたい」と囁いたあの出来事が今でも鮮明に蘇るのです。
あの日の出来事以来、今でも彼に逢いたい気持ちと、結ばれなかった当時のふたりを想う気持ちが葛藤を繰り返しています。
本記事は、大切な人の闘病生活を支えて来られて、当時の切なく辛い感情が今でも胸に焼き付いてなかなか消せないでいる方の琴線に触れるようなお話しとなります。
それでは、さっそく『木蘭の涙』というタイトルから見ていきます。
『 木蘭の涙』歌詞の意味〜タイトル編〜
「木蘭の涙」というシンプルな擬人法の意味は、次のような2つの解釈が可能です。
- 木蘭=私であり、木蘭の咲く季節にいつも溢れ出す私の涙
- 木蘭=彼であり、昇天する彼の魂が流した涙
「涙」に、このような2つの意味が込められていたのならば、「木蘭の涙」というシンプルなネーミングも噛めば噛むほど味が出るような味わい深いタイトルと言わざるを得ません。
本 UTAZINE.jp では、「私の涙」を基本の解釈とし、「彼の魂が流した涙」という解釈を大胆に組み合わせることでドラマティックな妄想ストーリーを構想しました。
をそれでは、1つずつカンタンに説明しましょう。
タイトルの意味❶【木蘭の涙=私の涙】という解釈
『木蘭の涙』の2番の歌詞には、つぎのような一節があります。
木蘭のつぼみが開くのを見るたびに あふれだす涙
『木蘭の涙』(1993,スターダスト・レビュー)
木蘭の咲く季節に、苦しかった彼との闘病生活の頃を思い出して、ついこぼしてしまう私の涙です。
ズバリ「木蘭=私」としての擬人法を裏付ける一節となっていますね。
タイトルの意味❷【木蘭の涙=昇天する彼の魂が流した涙】という解釈
『木蘭の涙』同じくの2番の後半に登場するちょっとドキッとする歌詞には、次のような一節があります。
さよならと言いかけて 何度も振り返る
『木蘭の涙』(1993,スターダスト・レビュー)
あなたは、初めてこの歌詞を耳にした瞬間、ある種の違和感を感じませんでしたか?
「さよなら」ってちょっと待ってよ!冷たくなくない?!
もし管理人が彼の立場だったら、どんなことがあっても彼女から「さよなら」って言ってほしくないですよね!
長い闘病生活を支えてくれた彼女の辛かった気持ちも痛いほど分かるのですが、「さよなら」はないだろと。。。
と同時に、すぐにこんな疑問もフツフツと湧いてきました!
どうして振り返るのよ?!さよならするんじゃないの?!
なんだか柳沢慎吾さんのような超熱いツッコミ口調になってしまいました(汗)
「さよなら」と「振り返り」を繰り返してグラグラと葛藤する彼女の後ろ姿が瞼に浮かんできそうなリアルな歌詞です。
さよならと言いかけて 何度も振り返る
『木蘭の涙』(1993,スターダスト・レビュー)
このグラグラするような感情のど真ん中に、「彼」がいるのですから、彼もまた、グラグラ気持ちが揺れ動いているはず・・・と考えると、彼の涙に行き当たりました。
彼もまた、闘病生活から彼女を解放させてあげた安堵感と同時に、もうこの世で彼女とは会えない堪らない寂しさに葛藤しているに違いない・・・
ここから、木蘭の涙とは、昇天する彼の魂が流した涙の擬人法による表現という解釈に至ったワケです、ハイ!
(まぁ、もっと本音を言えば、「彼」も登場させてあげないと可哀想だな・・・という気持ちです)
『 木蘭の涙』歌詞の意味〜タイトル編〜 まとめ
『木蘭の涙』というタイトルは、2つの意味を含んだ深淵なタイトルとして考えることができます。
木蘭=私であり、木蘭の咲く季節にいつも溢れ出す私の涙
木蘭=彼であり、昇天する彼の魂が流した涙
単に二つの解釈が可能ということだけでなく、彼女と彼のふたつの想いが交錯しているところに、『木蘭の涙』の奥深い相思相愛ストーリーがあるわけですね。
『木蘭の涙』、神曲です。
それでは、次にこの歌のシチュエーションを見ていきましょう。
『 木蘭の涙』歌詞の意味〜シチュ編〜
『木蘭の涙』の歌詞の意味として、この歌のシチュエーションを明確にする必要がありますが、そのためには、次の2点に着目するのが効果的です♪
- 歌の主人公の属性
(※キャラクター・ライフスタイル・感情生活など) - 歌が生まれた瞬間
(※クライマックスシーン)
それでは、まず歌の主人公の属性から設定していきましょう!
(1)『木蘭の涙』歌詞の意味〜歌の主人公の属性〜
『木蘭の涙』の歌詞の意味を理解する上で、歌の主人公の属性は非常に重要な要素です。
なぜなら、一つ一つの歌詞の解釈の方向性が、主人公の感情や状況・環境によって大きく異なるからです。
『木蘭の涙』の全身全霊で聴き込みつつ、並行して歌詞を注意深く読み取ることで、ポイントとなる歌詞から属性を設定してみました。
主人公の属性❶ 強い喪失感に苦しんでいる結婚適齢期の女性
歌の主人公の属性を設定した推論とその歌詞を見てみましょう。
【推論と歌詞】
❶二人は将来一緒に生活をする前提で交際を続けていた(”いつまでも側にいる”)
❷彼の病院での闘病生活を献身的に支えた(”いとしさの花篭”)
❸数年間の闘病生活の末、彼は木蘭が咲く頃に亡くなった(”幾度目かの春の日”)
彼女は、”いつまでも側にいる” という彼の気持ちに”よりそって”、彼の好きな花ばかりを盛り合わせたお手製の”花篭”を病室に飾り、彼の気持ちを少しでも楽にしてあげようと”やさしさを紡ぐ”ように献身的に闘病生活を支えていました。
そんな彼女の想いも虚しく、”幾度目かの春の日”に”あなたは眠る様に”逝ってしまいます。”いつまでも側にいる”と言っていたのに。
あの日の春から、数年経ったいまでも、木蘭の花が咲く頃になるとあの”遠い春の日々”(=春が遠い幸薄き日々の暗喩的な表現)のことを思い出し、辛い気持ちになるのです。
これで歌の主人公の全体像が見えてきました。
主人公の属性❷ 亡き彼に対する憂鬱と恋情の無限ループにハマっている
”あなたは嘘つき”や”私を置き去りに”という、亡くなった彼を非難する(なじる)ような彼女の言葉が何度もリフレインされていることから、物心両面にわたる強い喪失感に苦しんでいることが歌われています。
いつまでも いつまでも
側にいると言ってたあなたは 嘘つきだね
『木蘭の涙』(1993,スターダスト・レビュー)
そして、こちら。
心は置き去りに/わたしを置き去りに
『木蘭の涙』(1993,スターダスト・レビュー)
わたしの身も心も、喪失感を受け止めきれず、屈折した想いに苦しんでいる(憂鬱)ことが伝わってきます。
一方で、彼への思い、そして二人の未来への思いが強ければ強いほど、やり場のない想いを受け止めてくれるのは、やはり「亡き彼」しかいないのです。。。
逢いたくて 逢いたくて
この胸のささやきが
あなたを探している
あなたを呼んでいる
『木蘭の涙』(1993,スターダスト・レビュー)
すでに”遠い春の日々”になってしまっているにも関わらず、こんな想いがフツフツと湧き上がる理由は、ある出来事により、彼へに逢いたい気持ちが再燃してしまった(恋情)から。
なのに、彼はいない。。。
ここから、憂鬱と恋情の無限ループがはじまります。
主人公の属性❸ 叶わなかった夢に泣き、この先も会えないことに泣く(二度泣きする)
『木蘭の涙』の歌詞を解釈する上での最大のポイントは、「夢のあとさき」の具体的な解釈にあります。
あふれ出す涙は 夢のあとさきに
『木蘭の涙』(1993,スターダスト・レビュー)
我が UTAZINE.jpでは、よりドラマティックな妄想ストーリーを志向していますので、「あとさき」の意味は、文字通り、「夢の後(つまり、未来)と夢の前(つまり、過去)」の両義を含んだものとして解釈しました。
ふたりの夢に泣く。
この後も彼に会えないことに、また泣く
【推論と歌詞】
❶夢=二人が唯一一緒に生きた時間=闘病生活を指している(”遠い春の日々”)
❷夢の後=闘病生活の後=彼の亡くなった後は、彼にもう会えないことへの痛切の涙(”逢いたくて”)
❸夢の先(前)=闘病生活に入る前=二人の夢(幸せな家庭を作る等)が叶わなかったことへの痛恨の涙(”あなたは嘘つき”)
❹毎年木蘭の花が咲く頃になると、恨みと切なさの交錯した感情で私は二度泣きしてしまう(”涙は 夢のあとさきに”)
複雑そうに見えますが、次のようなイメージして頂けますと、とてもシンプルで分かりやすいです。
夢の先(前)
〜”あなたは嘘つきだね”〜
⬆️
⬆️
(過去)
⬆️
⬆️
ふたりの夢の時間(=闘病生活)
〜”遠い春の日々”〜
⬇️
⬇️
(未来)
⬇️
⬇️
夢の後
〜”逢いたくて 逢いたくて”〜
👉つい二度泣きしてしまう
〜”涙は 夢のあとさきに”〜
”逢いたくて 逢いたくて”という未来への気持ちと”あなたは嘘つきだね”という過去への気持ちが、アンビバレンスな感情として表出されていることに留意すると、「あとさき」についての両義性の解釈がシックリするのではないでしょうか。
同じ対象に対して相反する感情や態度を同時に抱いたり、交互に抱いたりする心理状態
『木蘭の涙』の奥深いストーリーが、”夢のあとさきに”という一節に集約していることに留意してもらえばokです。
『木蘭の涙』歌の主人公の属性 まとめ
強い喪失感に苦しんでいる結婚適齢期の女性
亡き彼に対する憂鬱と恋情の無限ループにハマっている
叶わなかった夢に泣き、この先も会えないことに泣く(二度泣きする)
以上のようペルソナ(属性)の基本情報を押さえておけば、具体的な細部(二人の出会いは共通の友人の紹介がきっかけだったとか、彼女は地域の比較的小さな図書館の司書とか、病室の窓から見える美しい緑の丘を二人で眺めて過ごしたとか)は、自由にイメージしていきましょう!
(2)『木蘭の涙』歌詞の意味〜歌が生まれた瞬間〜
本 UTAZINE.jp による「歌の主人公の属性分析」に基づき、『木蘭の涙』が最高にハマる瞬間を想定すると、<歌が生まれた瞬間>は、次のようになります。
3年間の闘病生活の後に、昨年亡くなった彼の治療費の残債をアルバイトをしながら貯めたお金で分納して来た彼女。
最後の支払いを終えて気持ちにひと区切りつけようと、彼が来たがっていた緑の丘を訪れる。
丘の上には、彼が好きだった紫木蘭がひときわ咲き誇っていて、まるで自分の事を忘れないでと訴えているように思えて、振り返ったその時、思わず大粒の涙が溢れた瞬間に、『木蘭の涙』は生まれた。
当 UTAZINE.jp における<歌が生まれた瞬間>とは、アーティストによる実際の作詞・作曲の時期ではなく、妄想ストーリーの中で、その歌が最高にハマる瞬間のこと。
見える化してハマるかどうか検証してみましょう。
今日ついに2年間アルバイトで返済してきた彼の治療費の最後の分納分を納め、完済できた
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気持ちに一区切り区切りつけるために、彼が来たがっていた「緑の丘」に登ってみた
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素晴らしい眺望に、気分が一新されたような気がして、これまでの自分を少し褒めてみた
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同時に、これからは「自分の人生」を歩いていこうと彼との思い出にさよならを告げようとした
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その時、甘く泡立つような花の香りに気がつき、振り向くと大輪の紫木蘭の花が揺れていた
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彼が紫木蘭の香りが好きだったことを思い出し、思わず目頭が熱くなった
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この時、彼が「逢いたかった。もう行かないで」と耳元で囁く声が聞こえた
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その瞬間、堪えていた積年の想いが胸に溢れ出し、涙が止まらなくなってしまった
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『木蘭の涙』のイントロが静かに流れはじめる・・・
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彼女は、なんども木蘭の大木を振り返りながら、よろよろと歩き出し、丘を後にしたのだった。
ハマると思います!
理由は、彼への気持ちに一区切りをつけて、自分の人生を歩こうとしかけた時、(元)カレから待ったをかけられて、気持ちの踏ん切りがつかなくなり、その迷いから、また彼への思慕や辛かった長年の闘病生活への思いなどが積年の思いとしてプレイバックしてくるからです。
『木蘭の涙』の歌詞には、彼と見た将来の夢、病室での束の間の安らぎの時間、緑の丘のこと、彼の最期の様子など、フラッシュバックしたくなるシーンが随所に盛り込まれていますね。
さらにまとめますと・・・
『木蘭の涙』は、長い闘病生活の末に他界した彼との思い出にさよならをしようとしたけれど、ある奇蹟的な出来事のために、今なお彼への気持ちを整理できずに恋情と憂鬱の間を揺れ続ける葛藤の歌なのです。
『木蘭の涙』、涙腺崩壊曲でした。
ここまでの歌詞分析を通して、ようやくJポップ妄想ストーリーのシチュエーション(舞台設定)と、主人公のペルソナがかたまりましたね!
お疲れ様でした!!
『木蘭の涙』のJポップ妄想ストーリーのあらすじ!
本曲『木蘭の涙』のJポップ妄想ストーリーについては、これまでの歌詞の解釈に基づき、次のような流れになりました。
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緑豊かな地方都市に住む28歳のシングル女性は、
友人の紹介で心優しい男性と交際をはじめます
交際1年足らずで彼が不治の病に倒れ、
郊外の病院で長い闘病生活がはじまる
彼の闘病を物心両面から支えてきた
彼女の想いも虚しく、
3年目の春に彼は息を引き取ります
高額な治療費の残債の一部を
アルバイトをしながら返済する毎日
治療費を完済した日に、訪れた思い出の丘で
彼の「行かないで」という囁きを耳にします
その出来事以来、木蘭の花が咲く頃になると
彼とのことを思い出し二度泣きしてしまう。。。
・・・と、このようなあらすじとなっています!
『木蘭の涙』をリピート再生して聴きながら、本Jポップ妄想ストーリーをながら読みすると、スターダストレビューさんの絶唱が、脳内でストーリーと絡み合い、軽いトランス状態になりますので、くれぐれもご注意くださいw
本Jポップ妄想ストーリーのタイトルは、これまでの歌詞の解析を通じて得られた知見に、H.A.K.U. の経験値を融合させた結果、『元介護女子の憂鬱と恋情(仮題)』としました。
現在執筆中ですので、完成しましたら、また別の記事にて内容紹介させて頂きますので、ご興味がございましたら、ぜひ読んでもらえるとめっちゃ嬉しいです♪
それではここまで、貴重なお時間を頂きまして有難う御座いました。
また歌の中でお会いしましょう!